「運命?」
 
 びくっ
 
「前世系?」
 
 びくっ
 
「電波?」
 
 びくっ
 
「地獄絵巻?」
 
 びくっ
 
…………えぅ〜
「いやっ、なにか聞こえるっ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
GEDOU
    〜 奥さん、外道ですよ 〜

ツナギノジュウキュウ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 香里は耳を押さえてうずくまり、ぷるぷる震えている。
 ……そんなに嫌か。
「なぁ、香里」
「聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない……」
「おい……」
「気のせいそう気のせい空耳よ空耳空耳空耳空耳空耳空耳空耳空耳空耳空耳空耳空耳空耳空耳空耳空耳空耳空耳空耳空耳空耳空耳空耳空耳空耳空耳空耳空耳……」
 
 ばごっ
 
「あいたっ」
「香里?」
 微笑み。
「………………」
「落ち着いたか?」
「え、え? あ、そ、そうね……」
 まだ少し動揺しているようだが、問題無さそうだ。
 香里に手を差し出す。
「ほれ」
「あ……うん」
 俺の手をつまむように掴み、おずおずと立ち上がる。
「……気のせいよね」
「何がだ?」
「……えぅ……って、聞こえなかった?」
「いや?」
 俺が言ったんだけどな。
 反応すごすぎだ。
「そう……気のせいみたいね。あ、なんでもないから気にしないで」
 まぁ、俺は殆ど知っているんだけど。
 面白くなりそうだから黙っておくか。
「そうか。じゃ、教室戻るぞ。もう昼休みも終わるからな」
「……そうね」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 退屈な授業。
 それももう終わり。
 放課後を告げるチャイムが鳴った。
 石橋のHRは5分としないうちに終わり、あとは帰るだけとなる。
「やっと終わったな……」
 こんなのが毎日続くのか……憂鬱だ。
「さて、帰るかな」
 中身の入っていない鞄を掴み、教室を出る。
 帰ると言っても、なにもすることがなさそうだし……
 商店街でCDでも見てくるか。
 そして昔の記憶からCD屋の場所を検索。
 …………0件。
 1件もヒットしなかった。
「行けばどこかにはあるだろ……」
 大きくため息を吐き、商店街へと足を進める。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「おにいちゃんっ」
 
 ひょい
 
「え」
 
 べしゃ
 
「…………さてと」
「うぐっ、ちょ、ちょっと待ってよ〜」
 いきなり死角からヘッドスライディングをかましたあゆあゆがへなった声を出す。
「あ、なんだ、あゆあゆか」
「なに今気が付きましたっていうふうに装ってるの〜〜知ってたくせに〜〜」
 地面にうつぶせたまま抗議の声をあげる。
「そんなことはないんだがな……」
「……そう? じゃ、いいや」
 むくりと起きあがると、ぱんぱんとコートに付いた汚れを落とす。
「…………うぐぅ」
 真っ黒になった両手を見つめて鳴くあゆあゆ。
 それはそうだろ。
 アスファルトとは言え、半分雪の溶けかかったところに突っ込んだんだ。
 汚れを落とすどころか広げただけにすぎなかった。
「もしかしなくてもあゆあゆって学習能力無いだろ」
「バカにしてない?」
 してる。
「で、あゆあゆはなんでここにいるんだ?」
「なんでって……いたらだめなの?」
「しょっちゅうここで出会ってる気がするんだが」
「そういえば、そうだよね。偶然」
「暇人か?」
「うぐっ……そんなことない」
「そういやおまえ病気持ちじゃねぇかおいこら病院戻れや」
「うぐぅ……ガラ悪いよ、おにいちゃん……」
「で、病院抜け出してなにしてんだ? ん?」
「……たいやきを……」
「なんだ? またパチってきたとか言うのか? ん?」
「そそそんなことないよ? もうやらないもんっ」
 そうか、それならいい。
「でもな、たいやきはやめとけ」
「……なんで?」
 あのオヤジがいるから。
「…………なんでもだ。子供は知らないでおくのが賢明」
「……うん、わかった」
 こくこくと頷く。
「よし、いい子だ」
 
 なでなで
 
「ところであゆあゆ」
「ん、なに、おにいちゃん?」
「CD屋ってどこにあるか分かるか」
「わかんない」
 即答かよ。
 使えねぇやつ。
「……あゆあゆに期待した俺が間違ってたってことか」
「なに気に酷いこと言ってたりする?」
 する。
「ま、それは名雪にでも任せるとして」
「任せるとして?」
「あゆあゆは今暇か? いや、というか暇だな。じゃ、ちょっと付き合え」
「うぐぅっ、決めつけないでよっ、こうみえても忙しいんだよっ。
 ……て、え? つつ付き合うの? そ、そんな急に……もうちょっと、こう……ねぇ?
 あ、べ、別に嫌とかそう言うことじゃなくてね。ボ、ボクもおにいちゃんのことは……
 なんというか、もうちょっと、それらしいシチュがいいというかなんというか。
 やややっぱりキスははじめてのデートの時かな? 3回目くらいなのかな? ど、どうなのかな?
 うぐぅ……でも、おにいちゃんが、したいんだったら……って、おにいちゃん? あれ? って、いないよっ!
 あっ、あっ、無視しないでよおにいちゃんっ、置いてかないで〜〜〜」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「やややっぱりはじめてはおにいちゃんの部屋かな?
 それとも、ホ、ホ、ホテルかな? まっまままさか外とかっ」
「……なんの話なんだ?」
 
 
 
 
 
 


あとがき

……かなりお久しぶりの更新な感じ
少しは更新しないと忘れ去られそう……
こんな無精なHPですが今後も見捨てずにお付き合い下さいませ〜
 
 

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