「朝〜、朝だよ〜」
 
 …………
 
「朝ご飯食べて遊びに行こうよぅ、ご主人様ぁ〜」
 
 すっぱぁ〜ん
 
「あぅっ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
GEDOU
    〜 奥さん、外道ですよ 〜

ツナギノジュウヨン
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「なんで俺のベッドで寝てんだ? ん?」
 俺は女にチキンウィングアームロックを極めながらそう聞いた。
「……なんでかなぁ」
 
 くいっ
 
「いたたたっ、いたいいたいっ、いたいっ、ぎぶぎぶっ、ご、ご主人様ぁ〜」
「こっちが聞いてるんだ」
「わ、分かんないよぅ〜、匂いにつられてふらふら〜って来ただけだから〜」
「動物か、おまえは」
「あぅっ、いたいいたい〜」
 
 みしっ
 
「あぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「おはようございます」
 台所に行くと秋子さんが朝食をもぎゅもぎゅと食べていた。
「朝ご飯、食べますか?」
「食べます。あ、自分で用意しますから、秋子さんは食べてていいですよ」
「……そうですか」
 なぜかちょっと残念そうだ。
 俺は食パンを2枚トースターに入れ、皿を用意して焼き上がるのを待つ。
「…………」
 冷たい水で顔を洗ったのだが、まだ頭がぼぅっとしている。
「祐一さん」
「……はい?」
「あの子のことなんですけどね……」
「あぁ、あいつですか。どうかしたんですか?」
「しばらく、ここに置いておこうかと思うんです」
「いいんじゃないですか?」
「…………」
「秋子さん?」
「……反対するかと思ったんですが」
「別に、反対する理由もありませんよ。あいつがいれば退屈だけはしなさそうですからね」
「そうですか」
 秋子さんはそう言うと、安心したように食べかけのトーストを囓る。
 俺は出来上がったトーストを取り出し、バターを塗った。
「……ジャムはお嫌いですか?」
「まぁ、甘いのは全般的にダメですね」
 パクリと一口囓る。
 うまっ
 市販のバターじゃないな、これは……
「甘くないのもありますよ?」
「ジャムは甘い物です。甘くないジャムも嫌いです」
「…………」
 拗ねた。
 俺は2枚のトーストを胃に収め、皿を流し台に置く。
「ごちそうさまです」
「……はい」
「秋子さん、今日は休みですか?」
「えぇ、まぁ」
「そうですか……名雪は起きそうにはないし、しばらくは二人きりですね……」
 そんなことを呟いてみる。
「…………そそ、そ、そうですね……」
 秋子さんは顔を真っ赤にして俯き、答える。
 う〜ん、初々しいな、反応が。
「眠気覚ましにシャワーでも浴びてきます」
「は、はい、どうぞ……」
「秋子さんも一緒にいかがですか?」
「い、い、い、一緒に?」
「洗いっことか」
「洗いっこっ」
 更に顔を赤くする。
 ……面白い。
 今日は暇だし、秋子さんからかって遊ぶか?
 と、その前にシャワー浴びてこよ。
 俺は身悶える秋子さんを無視して風呂場へと向かった。
「で、でもでも、私はもうおばさんですし、祐一さんにはもっと若い子が……
 あ、べ、別にイヤという訳じゃ、というかむしろ私も祐一さんのことは……
 祐一さんは、こんなおばさんでもいいんですか…………って、あれ?
 ……………………いないし……ぐすぐす」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 あっつ〜いシャワーを浴びて戻ると、秋子さんがリビングのソファでふて寝をしていた。
「…………ぐす」
「なにしてんですか、秋子さん」
 俺は秋子さんの前に行き、ぺしぺしと頭を叩きながら問いかける。
「…………祐一さんが」
「俺が?」
「……いなくなったんです」
「…………はぁ?」
 なに言ってんですか、秋子さん。
「俺はここにいるじゃないですか」
 ぐりぐりと頭を撫でる。
「ぐす……いいんです、分かってますから」
 ……なにが?
「……俺は部屋にいますから、何かあったら呼んでくださいね」
「何もなくても呼んでもいいですか?」
「だめ」
「…………ぐす」
 起こしかけた体を再びソファに横たえ、ふて寝を開始する秋子さん。
 ……頼むからもう少し大人になってくれ……
 俺はため息を吐いて自分の部屋に向かった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 がちゃ
 
「…………」
 ドアを開けると、ベッドがちょうどひとの大きさに盛り上がっていた。
「……あう……ご主人様の匂い……」
 
 ごがぁっ
 
「あぅっ」
 とりあえず、蹴り。
「なんでまだいるんだ? 自分の部屋に戻れと言ったはずだぞ?」
「……なんでかなぁ」
 
 どずむ
 
「…………あう
 昏倒した女を足元の方に転がし、俺はベッドに横になった。
「……暇潰しに本でも読んでるか」
 枕元に置いておいた小説を取り、ぱらぱらとページをめくる。
 
 むに
 
「あぅ」
 ……足元にいる女を踏んだようだ。
 
 むにむに
 
「あぅ、あぅ」
 
 むにむに
 
「あぅ、あぅ」
 
 むにむに
 
「あぅ、あぅ」
 
 むにむに
 
「あぅ、あぅ」
 
 むにむに
 
「あぅ、あぅ」

 
 むにむに
 
「あぅ、あぅ」
 
 むにむに
 
「あぅ、あぅ」
 
 …………
 
 ………
 
 ……
 
 …

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ぐす…………放置プレイ……?」
 
 
 
 
 
 
 


あとがき

秋子さんが
というか私の思考回路が
大変です、もう

あと1〜2話は真琴の話になりそう……
まだ出てないキャラもかなりいるというのに
……もうしばらくお付き合い下さいませ……
 

SS index / this SS index / next 2002/02/02