世界は、白と、黒と、そして灰色に覆われている。
 止むことの知らない雪達と、重く低い空。
 遙か昔に起こった神々の戦……それにより世界は闇に包まれた。
 大地は切れ間のない分厚い雲に覆われ、ひとは光を失った。
 闇は魔に属するモノの世界。
 光は聖に属するモノの世界。
 聖の象徴は神秘と奇跡、そして太陽。
 魔の象徴は輪廻と運命、そして月。
 闇と光が入り交じる世界、それが本来のひとの住む世界だった。
 それが今や異形の跋扈する冷厳な大地――闇だけが支配する世界となった。
 いつからいつまでが今日で、いつからが明日なのか。
 それすらもわからない世界。
 だからひとは光を求めた。
 どこにあるはずもない光を求め――
 そして幾百年もの時を経て、魔術技師の作った灯火により、ひとは再び太陽を得た。
 灯火にひとは集まり、村となり、街となり、国となった。
 巨大な壁を築き、巨大な結界を張り巡らせ……
 そうして幾つもの天蓋都市にひとはようやくと安住の地を見つけた。
 ――しかし、ひとは愚かな生き物だった。
 闇の始まりよりわずか四百年……大戦は起こった。
 こんな世界でうまく食料を確保できるはずもなく、人々は常に飢えていた。
 足りない食料をどうすればいいか?
 簡単なことだった。他から盗ってくればいいのだ。
 はじめは村や町同士の小さな小競り合いから。
 それがやがては国と国との紛争にまで発展し、世界の色に、鮮やかな紅が加わった。


 豊かな土地を持つ天蓋都市をめぐる争いが始まり千年。
 この物語は、そんな歴史や戦争とは全く関係のない、ひとりの少年のお話である。





舞台背景なんて飾りです。えらい人には以下略ですよ?

連載もの書かないで何やってるっちゅー感じなんですけど、まぁ、なんというか。
SSは書きたいものを書くのが正しい姿だとは思うんですがごめんなさい。

あ、一応KANONですのでご安心を(何を?