今日は祐一さんが祐璃さんに戻る日 
 時計は8時を指しています 
 
 ………… 
 
 ……来ませんね…… 
 
 ………… 
 
 そうですっ 
 起こしに行きましょう 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
月に叢雲、花に風 
     〜わたしに捧げる鎮魂歌〜 

断章ノ二 - reckless driving / 2nd race - 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 昨日はかなりヘビーな話を聞かされてしまいました…… 
 祐一さんがあの双子だということだけでも驚きなのに 
 さらに女性ときました 
 驚くなというほうが無理です 
 これは誰にも言えないことなんですよね…… 
 言っても理解されるかどうか 
 
 え、祐一が女? 
 そんなわけないよ〜 
 だってついてたもん 
 
 とか言うんでしょうね、あの苺狂いは 
 過去の祐一さんを見ていれば女だなんて信じられません 
 過去が男なら現在も男というのが摂理です 
 まぁ、時々イレギュラーはありますけど……それは少数でしょう 
 
 こんこん 
 
 祐一さん、起きてますか〜 
 
 こんこん 
 
 ねてますか〜 
 
 こんこん 
 
 入りますよ〜 
 
 かちゃ 
 
 ……寝ていますね、思いっきり…… 
 でも、女だと言われてみれば…… 
 結構――いえ、かなり女の子してますね 
 寝顔はまるで無垢な処――少女のよう 
 女の子…… 
 でも祐一さんは祐一さんです 
 それは変わりませんが…… 
 やっぱり女の子だとは思えません…… 
 今までの漢っぷりから女の子と思えというほうが無理です 
 
 
 
 
 秋子さん荷物重いでしょう? 俺が持ちますよ 
 あら、そんなことありませんけど…… 
 いえ、持たせて下さいよ 
 女性が荷物持って男が手ぶらというのもなんですし 
 じゃぁ、お願いしちゃいましょうか 
 はい 
 
 
 
 
 
 あれ、秋子さん、こんなところで寝てると風邪ひきますよ 
 ゆさゆさ 
 秋子さーん 
 ゆさゆさ 
 ……起きない……名雪の母親なだけはあるのか……仕方ないな…… 
 実は起きてたんですけど、こんなとこ見られて恥ずかしかったので寝たふりをしてたんです 
 祐一さんは私を、いわゆるお姫様だっこをして寝室まで行きました 
 その恥ずかしさったらもう…… 
 そしてそっとベッドに横にして布団を掛けてくれました 
 秋子さん、あんまり無理はしないで下さいね 
 そう言って部屋を出ていく祐一さん 
 私は嬉しくてその夜鳴いちゃいました 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 泣いちゃいました 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 その祐一さんが女の子…… 
 
 ………… 
 
 確かめますか 
 
 ………… 
 
 見た感じは……中性的というか何というか 
 男の人にしては綺麗すぎますね 
 顔だけを出して布団の中で丸くなってます 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 か、かわいいっ 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 こほん 
 なにを言っているんでしょうね、私は 
 
 さて 
 顔は合格です 
 問題なしです 
 次は体です 
 
 …………肢体って書くとなんかえっちくありません? 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 こほん 
 
 ではでは 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ごそごそ 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 あ、あったかいです…… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ごそごそ 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 こ、こ、これはっ 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 すすすすごいふにふにですっ 
 
 にのうで〜 
 
 おなか〜 
 
 ふともも〜 
 
 ふにふに〜ふにふに〜 
 
 ふにふに〜ふにふに〜 
 
 ふにふに〜ふにふに〜 
 
 ふにふに〜ふにふに〜 
 
 ふにふに〜ふにふに〜 
 ――て、はっ 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 気持ちいい…… 
 じゃなくて 
 
 胸はやっぱり余りありませんね 
 でもそれはそれで 
 でもなくて 
 
 ここまでしたら流石に祐璃さんも…… 
 ――寝てますね 
 
 まあ、昨日は夜遅くまで起きてましたからね…… 
 苺狂いもかくやという眠りです 
 それじゃ、も少し―― 
 じゃなくて 
 
 これだけ確かめればいいでしょう 
 女の人です 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 いえ 
 まだです 
 ここまでは根性でどうにでもなります 
 女性にしかないもの…… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 いきますか 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ごそごそ 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ふにふに〜 
 ――じゃなくて 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ごそごそ 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ない……ですかね 
 いえっ 
 下着の上からではわかるものもわかりませんっ 
 こ、ここは、直接…… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 う、うわぁ…… 
 すごい…… 
 
 自分以外のを触ったのは初めてです…… 
 し、しかもつるつるです 
 
 つるつる 
 
 すべすべ 
 
 生えてません 
 名雪ですら生えてるのに…… 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 ……やらか〜い 
 
 ぷにぷに〜 
 
 ぷにぷに〜 
 
 ぷに―― 
 秋子さん 
 
 はぁうっ 
 おおおおおおきてたんですかっ 
 
 なにを……していたんですか……? 
 
 いいいえ、なにを……と……い、言われましても……ナニを? 
 あぁっ、なにを言ってるんですっ 
 
 そうですか……しかも指まで…… 
 
 そそれは……つい……ね? 
 
 ね? じゃありません 
 自分が相手になにかするということは…… 
 相手から自分にそれをされても文句は言えないんですよ 
 
 ……はい? 
 
 ヤったらヤられると思え、と言うことです 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 というわけで―― 
 
 なななにがというわけなんですっ 
 
 なにって……ナニ? 
 
 ナニって……あっ、こっちにこないで下さいっ 
 
 さぁ…… 
 
 い、いやっ 
 
 ほら…… 
 
 ぁ…… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ほらもうこんなに 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 やぁ……そんなこと言わないで…… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 事実でしょう?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 もう……もうやめてください―― 
 ――って、はっ 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ……ゆ、夢オチ…… 
 なんてベタな展開…… 
 うわっ 
 ふ、布団の中がすごいことに…… 
 うぅ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 今日祐璃さんと私はものみの丘に行きます 
 祐璃さんは用事があるとかで先に出掛けました 
 さて、私も行きますか 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 商店街です 
 
 祐璃さんの用事って何でしょうね 
 
 ………… 
 
 まぁ、気にしても始まりませんか 
 
 
 それにしてもすごい夢を見てしまったものです 
 おもいきり攻められました…… 
 それはそれで良かったですが 
 どうせなら祐璃さんをめちゃめちゃに苛めて―― 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 こほん 
 なにを言っているんでしょうね、私は 
 
 祐璃さん……ここはどうですか? 
 ぅ……ぁ……秋子さん……もう…… 
 
 あぁっ 
 また暴走ですかっ 
 
 だ、だめですっ、そんなの入りませんっ 
 あら、なら何が入るんですか? 
 
 「おっ、秋子さんこの大根なんてどうだい!」 
 
 だだだ大根ですかっ 
 大根をですかっ 
 
 「こんだけ大きいのはなかなか入らないよ〜。どう?」 
 
 入るはずありませんっ 
 なかなかって 
 入ってたまりますかっ 
 
 「う……な、なぁ母ちゃん、秋子さん何だかすげぇ怖いんだけど……」 
 
 壊れちゃったりしたらどうするんですかっ 
 せめても少し―― 
 
 「な、ならこれはどうだい。ゴボウとか山芋。あ、茄子もあるよ」 
 
 ゴボウに茄子……これなら大丈夫でしょう 
 でも山芋って 
 痒いですよ? 
 どちらかというと拷問ですよ? 
 
 
 あっ……く……秋子、さん…… 
 ふふ……どうしたんですか? 
 ぅ……あ……そこ……が…… 
 あそこ……どこですか? 
 ×……××××……××××が…… 
 そんなに顔を真っ赤にして…… 
 も、もうだめ……痒いよぉ……秋子さぁん…… 
 どうしてほしいんですか? 
 う……動かして……… 
 聞こえませんよ 
 ……動かして……××××××××してぇっ 
 了承っ♪ 
 
 
 ……いいですね 
 じゃ、三つとも頂けますか? 
 
 「毎度っ」 
 
 ふふ……これで祐璃さんを…… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 な……… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 なにを…… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 なにを買っているんですか……私は…… 
 暴走しっぱなし…… 
 こ、こんなことではいけませんっ 
 これでも一児の母なのですっ 
 いつもいつも淫らな想像ばかりしているわけには…… 
 淫らな…… 
 
 どうですか祐璃さん? この縄の味は 
 き……きつい……痛いです…… 
 あらあら、じゃぁここはどうしてこんなに―― 
 破ぁっ 
 
 うぅ…… 
 どうしてなんでしょう…… 
 ついにローププレイまで…… 
 もう、わたしの頭の中はだめかもしれません…… 
 名雪…… 
 お母さんはこんなにも汚れてしまいました…… 
 
 お母さん…… 
 
 な……名雪…… 
 
 お母さんは汚れてなんかいないよ 
 
 あぁ名雪……私を慰めてくれるの……? 
 
 うん、ひとりで自分を慰めるより二人の方がイイでしょ? 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ………… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 わ、私の聞き間違いですよね…… 
 
 ほらお母さん、早く服脱―― 
 破ぁっ 
 
観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 度一切苦厄 舎利子色不異空 空不異色 色即是空 空即是色 受想行識 亦復如是 舎利子 是諸法空相 不生不滅 不垢不浄 不増不減 是故空中無色 無受想行識 無眼耳鼻舌身意 無色聲香味觸法 無眼界 乃至無意識界 無無明 亦無無明盡 乃至無老死 亦無老死盡 無苦集滅道 無智亦無得 以無所得故 菩提薩垂 依般若波羅蜜多故 心無圭礙 無圭礙故 無有恐怖 遠離一切 顛倒夢想 究竟涅槃 三世諸仏 依般若波羅蜜多故 得阿耨多羅 三藐三菩提 故知般若波羅蜜多 是大神咒 是大明咒 是無上咒 是無等等咒 能除一切苦 真實不虚 故説般若波羅蜜多咒 即説咒曰 羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶  
般若心経っ 
 
 ふぅ 
 邪念退散ですっ 
 しばらくは保つでしょう 
 
 さて 
 
 こんなところで暴走したり般若心経唱えてないで行きますか 
 なんか無駄に時間を消費したように感じられてなりません…… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ものみの丘 
 
 遙か昔より妖狐が住むといわれる地 
 
 ここに祐一さんが眠るという 
 
 そこに佇む影 
 
 相沢祐璃 
 
 もうひとりの相沢祐一 
 
 長い間自身を偽り、生きてきた 
 
 でも今日はそうじゃない 
 
 相沢祐璃としてここにいるんです 
 
 もう、ひとりで苦しまなくていいんです 
 
 私がいます 
 
 私が守ってみせます 
 
 あなたを、祐一さんを 
 
 だから大丈夫です 
 
 そんなに悲しそうな背中をしなくても 
 
 涙を流さず泣いたりしなくても 
 
 私がいます 
 
 泣きたくなったら私の所に来ればいい 
 
 やさしく慰めてあげます 
 
 あなたの頭を撫でながら言いましょう 
 
 あなたはひとりじゃないのだと 
 
 そしてあなたの敏感なそこを愛撫し―― 
 破ぁっ 
 
 
 
 
 
 
 
 
 どうしてっ 
 
 
 
 
 
 
 
 
 どうしてなんですかっ 
 
 
 
 
 
 
 
 
 どうしてここでっ 
 
 
 
 
 
 
 
 
 いいところだったのにっ 
 
 
 
 
 
 
 
 
 どうしてなんですか私の思考回路っ 
 ピンクですかっ!? 
 ピンク色なんですかっ!? 
 もう……だめなんですか……? 
 ぅぅ…… 
 もういいや……どうでも…… 
 なるようになってください…… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 …………気を取り直して―― 
 
 
 
 
 
 
 
 
 あなたはひとりじゃありません 
 
 泣きたければ泣けばいい 
 
 悲しければ悲しいと言えばいい 
 
 私が聞いてあげます 
 
 だからこっちを向いてください 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ――祐璃さん 
 
 
 
 
 

 
あとがき 
 
今回の断章は……なんだかなぁ
やめとけば良かったかも…… 
安易に下ネタに走りすぎ 
批評お待ちしております
次は五章……なにも考えてません 
以降の形式は一話完結の短編ぽくしてみようかと 
……うまくいけば 
 

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