夢
夢を見ている
幼き頃の夢
決して忘れる事のできない夢
決して忘れる事の許されない夢―――
ぼくはなにもできなかったんだ
ぼくはひとをころしちゃった
こんなぼくなんかいらない
ぼくなんかいらないんだ
ぼくなんかきえてしまえばいいんだ
それでもおねえちゃんはぼくをはげましてくれた
だから、なにかおかえしをしてあげたい
そうだ
ぼくのばしょをあげよう
ぼくがいなくなれば、おねえちゃんはこのばしょにでてこられるはずだ
おねえちゃんともおわかれしなきゃならないのはさみしいけど
おねえちゃんがしあわせになれればそれでいいや
こんなぼくがここにいるより、おねえちゃんにこのばしょをあげよう
さようなら、おねえちゃん
日に朧雲、華に雨
〜君に奏でる追走曲〜 I shall not return.
written by musou
俺の名前は祐一。名字は……捨てた。ま、色々あるって事だ。
俺はとある事情で家を出て、今はこのサーカスで道化師をやっている。
道化師と言っても、ナイフ投げの的になったり、玉乗りをわざと失敗しておどけるピエロという意味だけではなく、
ジャグリング(お手玉)などをこなしてスキルで客を魅了するクラウンも兼ねているのだ。
本当はそれぞれ役割が違うから、別の人間がそれぞれ演じるものなのだろうけど、生憎とうちのサーカスは規模が小さい。
だから俺が両方こなさなくちゃならないのだ。
サーカスの花形である空中ブランコに比べたら全然地味なのだが、俺は存外この道化師が気に入っている。
このサーカスに入ってから7年もの間続けて来たからなのか、愛着も涌いた。
7年、だったか。あれからもうそれだけ経つのか。
公演が終わってその地を旅立つ前はいつもこうだ。
俺が姉さんと別れた時の事を思い出して、ついでに昔の事まで思い出してしまう。
そして決まってあの夢を見る。
姉さんは……祐璃は元気でやってるだろうか。
俺がつけた名前の、たったひとりの姉さん。
親だけでなく姉さんにさえ俺は自分が死んだように見せかけた。
この事を知ったなら、半ば押し付けるような形で事を運んだのを姉さんが知ったら、姉さんは俺を恨むだろうか。
色々と協力してくれたあのおばあさんも、元気で過ごしていてくれるだろうか。
あの後、俺を今となっては思い出深いあの町に埋葬する振りまでしてくれた。
そして、俺の身の振り先であるこのサーカスを世話してくれたのも、あの人だった。 今では感謝してもし足りない。
そして、ここが俺の家になった。
町から町を渡り歩く、奇妙でちょっと大きな家だ。
……あの家とはもう関係ない。
だけど、それでも気にならないと言えば嘘になる。
決して解らないけど、答えは返ってこないけど、それでも聞きたい。
姉さん、今、貴方は幸せですか?
「おーい、祐一〜」
風に尋ねるように独り問いかけていると、花形の佳乃が俺を呼んでいる。
次の公演は北国でやるとの団長のお達しだそうだ。
「―――北国、ねぇ」
あの町を思い出した。良い思い出も悪い思い出も、色々ありすぎたあの町を。
形だけの俺の墓があるという、もう行く事もないであろうあの町を。
ま、もうどうでもいい事だ。
例え地の果てまで行こうとも、今の俺の家はここで、俺はこの家で道化師を演じ続けるだけ。
それが今の俺の人生。
こんな俺でも、結構幸せなのかも知れない。
姉さん、今、貴方は幸せですか?
風は何も答えず、ただ俺の頬を撫でて吹き抜けた。
あとがきっぽい
色々と手抜きでいい加減。
(天声:解ってるなら直せ。)
あ〜、本編で隣町辺りにサーカス来ねぇかなぁ。
(天声:来る訳ねぇだろ。)
一応、本編と繋がってるのを前提としてるらしかった。
無双さんよりいただきました
ありがとうございます
さて、いかがでしたか?
こんな「月に〜」もありでしょう
サーカスの本編への登場は……まぁ、お楽しみということに
出なくても文句は無しの方向で
無双さん曰く
続くかどうかはさっぱり、とのこと
個人的には続き希望(笑
← gift index | 2002/02/17 |